放課後等デイサービスの資金繰り

放課後等デイサービス 請求先は、利用者と国保連の2つ

一般企業と同様に、放課後等デイサービスの事業所でも、請求と入金の事務処理が毎月発生します。放課後等デイサービスの場合、請求先は利用者と国保連の2つになります。それぞれを細かくみていきましょう。

利用者への請求

自己負担分の1割は利用者に請求します。月末締めで利用者ごとに給付費+報酬加算・減算を算出し、原則、合計の1割を自己負担分として利用者に請求します。利用者には請求できる上限額が国によって設定されています。非課税世帯(生活保護や低所得など)は0円、世帯年収が約890万円までは4,600円、世帯年収が約890万円以上は37,200円となっています。この上限額を超える分については、国保連への請求となります。おやつ代などの実費については、上限額とは別に請求することになります。

利用者は利用料を直接事業所に支払うケースもありますが、直接回収や口座振替を行う集金代行サービスを活用する事業所も多いようです。

国保連への請求

放課後等デイサービスでは、利用者の自己負担分以外の9割は国保連に請求します。利用者1人ひとりの条件内での利用状況の把握、報酬加算・減算といった複雑な処理が必要な国保連への請求は、下記のステップで行います。

①請求用のエクセルデータを作成
②民間の請求サービスにアップロードし、国保連請求用CSVデータを作成
③CSVデータを国保連に伝送

国保連への伝送はサービス提供月の翌月10日までに行うと決められています。ここで請求した分は、翌々月の15日(約2ヵ月後)に入金となります。データを伝送すると、後日国保連より審査結果が通知されます。万が一、請求内容に払い戻しや過誤請求などがあった場合は、国保連から連絡がくるので、翌月の請求時に修正処理を行うことになります。
毎月10日までいう締め切り時間を過ぎた場合、翌月に請求することになりますので、その分入金が遅れることになります。特に国保連からの入金は約45日後と遅いため、請求処理は余裕をもってミス無く確実に行うようにしましょう。

資金繰りの改善に役立つ、ファクタリングサービスとは?

放課後等デイサービスの売上の9割は国保連からの入金です。国保連からの入金は翌々月15日つまり45日後です。事業所を開設した直後は、利用契約が奮わないと運転資金が底をつくのではという不安を抱える経営者が多いようです。こうした放課後等デイサービスに特有の資金繰りの不安解消におすすめしたいのが、各社から提供されているファクタリングサービスです。

ファクタリングサービスのメリット(A社の場合)

・手数料を払うことで、国保連への請求の8割を半月後に受け取ることができる(残り2割は国保連と同じ45日後)
・借入金ではなく売掛金という扱いなので負債にならない
・保証人や担保が不要

ファクタリングサービスの手数料(A社の場合)

定額手数料:3,000円+税
振込手数料:500円+税
買取手数料:国保連請求額の8割に対して1%

早期の資金調達は安定経営の基盤となります。少しでも資金繰りに不安がある場合は、こうしたサービスを検討するとよいでしょう。

他事業所との連携が必要な「上限額管理」とは?

1人の利用者が複数の放課後等デイサービス事業所を利用するケースがあります。その際、どこかの事業所がその利用者の請求額をまとめ、請求額の合計が上限(基準に応じて0円、4,600円、37,200円)を超えないようにチェックする「上限額管理」を行います。上限額管理を行う事業所は他の事業所での利用状況データを集め、上限額管理結果を各事業所に返信します。
通常、最も多く利用されている事業所が上限額管理を行うことが多いようです。毎月10日の国保連への伝送に間に合うように、他事業所と連携しながら請求データをまとめる必要があります。

まとめ

放課後等デイサービスでは、売上の9割を占める国保連への請求が毎月の大きな節目となります。事業所を開設したばかりの時期は、まずは安定経営を目指して資金繰りに余裕をもつ工夫をされるとよいでしょう。人員に余裕があればすべての事務処理を従業員で済ませてもよいと思いますが、人手不足の事業所が多い中、多少手数料がかかっても集金代行やファクタリングサービスを活用することで、早いうちに経営基盤を安定化させることができるかもしれません。