多機能型の事業所は報酬「増」?~平成30年4月報酬改定~

報酬の改定が実施されました

平成30年4月より放課後等デイサービス、児童発達支援において報酬に関する改定が実施されました。放課後等デイサービスでは基本報酬の単位は減少し、児童発達支援では基本報酬の単位が増加しております。
それぞれの基本報酬についてはこちらの記事をお読みください。
放課後等デイサービスの改定内容はこちら児童発達支援の改定内容はこちら
では、2つの事業を同時に行っている多機能型の事業所の報酬はどう変わったのでしょうか。東京都の多機能型の事業所(放課後等デイサービス:5名、児童発達支援:5名)が平日(22日間)に通常時間のサービスを行った場合で計算します。

具体的な計算例

基本報酬分で売上がどれくらい変わるのかを、単位を用いて計算してみましょう。
まずは改定前を計算してみましょう。児童が5名ずつであることに注意してください。

・改定前の多機能型の事業所の基本報酬:月売上約1,682,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(473単位)+児童発達支援管理責任者専任加算(205単位)=678単位/日(月売上約835,000円)
児童発達支援分:基本報酬(620単位)+児童発達支援管理責任者専任加算(68単位)=688単位/日(月売上約847,000円)

では改定後の計算をしてみます。区分の組み合わせで4通りの報酬が考えられます。
①放課後等デイサービス、児童発達支援ともに区分1の場合:月売上約1,826,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(656単位)=月売上約808,000円
児童発達支援分    :基本報酬(827単位)=月売上約1,018,000円

②放課後等デイサービスが区分1、児童発達支援が区分2の場合:月売上約1,674,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(656単位)=月売上約808,000円
児童発達支援分    :基本報酬(703単位)=月売上約866,000円

③放課後等デイサービスが区分2、児童発達支援が区分1の場合:月売上約1,768,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(609単位)=月売上約750,000円
児童発達支援分    :基本報酬(827単位)=月売上約1,018,000円

④放課後等デイサービス、児童発達支援ともに区分2の場合:月売上約1,616,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(609単位)=月売上約750,000円
児童発達支援分    :基本報酬(703単位)=月売上約866,000円

まとめ

児童発達支援で区分1となると基本報酬が大きく上がるため、放課後等デイサービスの区分に関わらず月の売上が増加します。(上記①、③)
しかし児童発達支援で区分2となると基本報酬が少ししか上がらないため、放課後等デイサービスで区分1となっても月の売上が下がってしまいます。(上記②)
児童発達支援では区分1に該当する要件が、放課後等デイサービスよりも易しいため、多機能型の事業所では今回の改定により売上の増加が見込めるでしょう。

参考:児童指導員等加配加算について

報酬計算で重要な児童指導員等加配加算について確認します。
多機能型の事業所では、児童指導員等加配加算は事業ごとに計算します。
例えば児童発達支援が区分1、放課後等デイサービスが区分2の場合は、児童発達支援では2人分まで加算でき、放課後等デイサービスで1人分まで加算が受けられます。

<改定後の児童指導員等加配加算>(放課後等デイサービス、児童発達支援共通)
区分1の事業所では2人分まで加算(区分2の事業所は1人分のみ加算)
・理学療法士等を配置する場合:209単位
・児童指導員等を配置する場合:155単位
・その他従業者を配置する場合:91単位

放課後等デイサービス、児童発達支援のどちらかが区分1となった場合は、区分1の事業では2人分まで加算が受けられるので計算の際は忘れないようにしましょう。
<例>
・放課後等デイサービスが区分2、児童発達支援が区分1のときに児童指導員を2人加配した場合:月売上約2,341,000円
放課後等デイサービス分:基本報酬(609単位)+児童指導員等加配加算(155単位)
=764単位(月売上約941,000円)
児童発達支援分 :基本報酬(827単位)+児童指導員等加配加算(155単位×2=310単位)
=1137単位(月売上約1,400,000円)