放課後等デイサービスの売上の仕組み

放課後等デイサービスの売上は、利用者が支払う利用料+国保連からの入金

放課後等デイサービスでは、毎月利用者ごとに報酬加算・減算を加味した総利用額を計算し、その金額を利用者負担分(1割)と国保連負担分(9割)にわけ、それぞれに請求します。つまり利用者が支払う利用料+国保連からの入金が売上となります。

総利用額の内訳

①給付費 : 利用料のこと。1回あたりの金額が決められている
②報酬加算 : 条件を満たしていればプラスして請求ができる
③報酬減算 : 基準に満たないと減算をされる

①給付費とは? 利用者ごとに利用料を算出する

放課後等デイサービスの総利用額は、「単位」という数字を基本として計算します。給付費も1回あたりの利用に応じて「単位」という数字が決められています。単位は平日と休日で異なり、473/日(平日)、611/日(休日)となっています(児童数が10人以下の事業所の場合)。
例えばある平日の利用者が10人だった場合、その日の単位の合計は473×10=4,730となります。ここに地域ごとに決められた単価(10円~11.20円)をかけたものがその日の利用額となります。事業所は利用回数に応じて、利用者ごとに毎月の給付費合計を算出します。

ある月の給付費算出の例

平日の利用 10人/日×20日 → 473×10人×20日×10円=946,000円
休日の利用 10人/日×4日 → 611×10人×4日×10円=244,400円
総利用額合計(平日+休日): 1,119,400円
利用者への請求額(1割):119,040円
国保連への請求額(9割):1,071,360円

②報酬加算 質の高い事業所はプラス請求できる

給付費に加えて、条件を満たしていれば請求できる項目があります。加算の考え方は、基準を守り、質の高いサービスを提供できる環境が整っている事業所を評価するというものです。加算の場合もそれぞれ単位という数字が決められています。主なものをみていきましょう。

・児童指導員等配置加算(児童指導員等の有資格者を配置した場合) 9/日(授業終了後)、12/日(休業日)
・児童発達支援管理責任者専任加算(児童発達支援管理者を専任で配置した場合) 205/日
・指導員加配加算(基準を上回る数の従業員を1人以上配置した場合)
 195/日(児童指導員、保育士、強度障がい支援者養成研修(基礎研修)修了者)
 183/日(その他の従業者(無資格の旧指導員))

児童指導員等配置加算と児童発達支援管理責任者専任加算は、最新の人員配置基準を満たしていれば、どの事業所でも請求できる項目といえるでしょう。加算の単位も給付費同様、利用1回あたりの単位となります。利用者ごとに利用回数に応じた合計を毎月事業所で算出します。
2017年4月に放課後等デイサービスの人員基準が変更になりました。それまで指導員は全員無資格でもよかったため、上記の条件に合致した場合は加算を請求することができました。2017年7月現在、上記の加算項目はそのままとなっていますが、2018年3月31日まで設けられている経過措置後はもしかすると廃止となるかもしれません。

・送迎加算(障がい児に対して居住宅または学校と事業所の間に送迎を行った場合) 54/回

利用者を送迎した場合の加算項目です。往復で送迎した場合は、利用者1人あたり108単位となります。重症の利用者を除き運転手1人で送迎することも認められていますが、安全確保のために2人で送迎するケースが望ましいでしょう。

・福祉専門職員配置加算Ⅰ~Ⅲ 6~15/日

常勤の児童指導員、障がい福祉サービス経験者のうち、福祉の専門職員がいる割合によって加算されます。言語聴覚士などの専門職員がいる事業所は加算ができるだけでなく、療養が充実していることのアピールとなるため、ほかとの大きな差別化になります。上記も給付費同様、利用1回あたりの単位となります。

・福祉・介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅴ

事業所で働く職員の処遇改善を目的とした加算項目です。事業所の経営者は1年ごとに申請し、この加算で得た報酬を職員に還元します。

③報酬減算 基準を満たしていない事業所はマイナスされる

基準を満たしていない、サービス品質が低い事業所は減算の対象となります。主な項目をみていきましょう。

・定員超過利用減算 基本単位数(各種加算がなされる前の単位数)+児童指導員等配置加算の70%を算定

利用者の定員オーバーに対する減算です。10名定員の事業所の場合、1日でも150%を超えると超えた日が減算となります。また3ヶ月間の平均が定員の125%以上でも減算されます。定員10人の事業所の場合は、定員に3を加えた数を超過している場合が適応されます。
(1日当たりの利用者数が超過した場合。定員50人以下の場合は定員の150%、定員が51人以上の場合は定員から50を差し引いた人数の125%に75を加えた数。過去3か月間の平均利用者数が定員の125%を超過している場合(定員11人以下の場合は定員に3を加えた数を超過している場合)

・児童発達支援管理責任者欠如減算 基本単位数の70%を算定

急な退職などで児童発達支援管理責任者が不在のままだと、翌々月より減算対象となります。翌々月を迎えるまでの間に、速やかに後任を見つけることが求められます。

利用者が事業所に支払う利用料(自己負担の1割)

上記で算出した総利用額の1割を利用者に請求します。利用料は事業所が毎月末締めで計算し、翌月に前月分として利用者に請求します。事業所で直接支払ってもらうケースもありますが、口座振替が可能な集金代行サービスを使う事業所もあります。

放課後等デイサービスの利用者が事業所に直接支払う月ごとの利用料には、国によって上限が決められています。

・生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯 → 0円
・世帯の年収が約890万円以下(市区町村民税所得割が28万円未満) → 4,600円
・上記以外 → 37,200円

総利用料の1割が利用者の上限金額に満たない場合 → 1割を利用者に請求
総利用料の1割が利用者の上限金額を超える場合 → 上限金額を利用者に請求、残りは国保連に請求

利用者が放課後等デイサービス利用するには、自治体の福祉課から交付された「障がい児通所受給者証」が必要です。この受給者証には月ごとの利用料の上限のほかに、月ごとの利用可能日数や食費などの実費の扱いなどが記載されています。利用契約を結ぶ際に、事業所はこちらの障がい児通所受給者証を確認します。

国保連からの入金(都道府県や市町村負担の9割)

総利用額の9割、都道府県や市町村負担分は国保連に請求します。請求はサービス提供月の翌月10日までに行います。請求分は、翌々月の15日(45日後)に入金となります。

まとめ

放課後等デイサービスの売上の9割は、国保連に請求します。国保連は請求から入金まで45日と長いため、運転資金にある程度の余裕が必要となるでしょう。放課後等デイサービスの安定した経営には、利用契約を増やすだけでなく、質の高いサービスを提供できる基準、特に人員をしっかり確保することで、加算につなげることが大切です。いつもぎりぎりで対応するのではなく、余裕をもった人員配置を心掛け、質の高いサービスを提供する事業所としての長期安定経営を実現しましょう。