放課後等デイサービス開設前に知っておくべきお金のこと(創業時の資金調達について)

放課後等デイサービス開設前に知っておくべきお金のこと

放課後等デイサービス 資金計画のポイントとは?

放課後等デイサービスの事業所を開設する際、まず注意したいのは、入金のタイミングです。事業開始後の入金の内訳とタイミングは下記になります。

事業所への入金

利用者が払う料金(1割) 通常月末〆→翌月末入金
国県市費から支給される介護給付費・訓練等給付費(9割) 月末〆→翌々月入金

放課後等デイサービスの場合、9割を占める給付費の入金は2ヵ月後になります。開設当初は給付費が入る前に、家賃や人件費などの支払いが発生します。初期は想定していた利用者数を確保できないというおそれもあるでしょう。そのため事業所が軌道に乗るまでの運営資金を確保できる、余裕をもった資金計画を立てることが大切です。下記で具体的なポイントをみていきましょう。

場所の確保で空家賃が発生する

放課後等デイサービスを開設する場合、まず物件探しから始まります。放課後等デイサービスとして利用できる物件には、広さ、設備、内装、耐震基準など、様々な条件があります。基準をクリアする物件の数は少ないため、よい物件が見つかり次第、仮契約で押さえておくケースが多いようです。

放課後等デイサービスの開設までは、所轄庁との事前協議→本申請→認可という流れになっています。事前協議を行う段階で、事業所の物件を決めておく必要があります。ここから認可を受けて事業開始まで、早くても4ヶ月かかります(審査が混んでいると、もっと時間がかかる場合があります)。

つまり事業開始までの約4ヶ月間は、空家賃が発生することになります。このほかにも基準を満たすための内装工事などで費用がかかります。資金を1000万用意しても、事業開始までには無くなるというケースが多いとされています。

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放課後等デイサービスは、融資を受けやすい?

放課後等デイサービスの開設は、融資を受けやすいという傾向があります。というのも事業所の入金の9割にあたる給付費の請求先は自治体(国保連)。民間と違って自治体からの支払いが滞るおそれは少ないため、放課後等デイサービスは安定した事業とみなされるからです。もちろん潤沢な自己資金がある場合は無借金でのスタートがベストです。しかし放課後等デイサービスは融資を受けやすいというメリットがあり、事業が順調なら繰り上げ返済も可能です。少しでも資金に不安があるなら、融資という選択肢も視野にいれておきましょう。

安定した事業運営の資金計画は、お金のプロ「税理士」に相談

放課後等デイサービスは法人格の組織しか認可を受けられません。そのため決算は税理士に任せることになりますが、できれば開設準備の段階から融資を含めて税理士に相談すると安心です。特に融資を受けて事業所を開設する場合、税理士のアドバイスに沿って創業計画書や資金計画を立てると、しっかりしたものとなり融資が通りやすくなります。また税理士によっては融資を受ける金融機関の中から、ベストなものを紹介できるケースもあります。融資を通った計画に沿って事業を進めることは、その後の安定運営につながります。

日本政策金融公庫、自治体の融資制度? 融資を受ける金融機関は慎重に検討しよう

放課後等デイサービスで受ける代表的な創業融資には下記があります。どちらがよいのか、事業計画とあわせて税理士に相談しながら検討するとよいでしょう。

日本政策金融公庫創業融資

日本政策金融公庫は、民間の金融機関では投資が難しい分野に融資を行っています。最大1000万円まで、無担保で融資を受けることができます。

中小企業制度融資

中小企業制度融資は、自治体独自の融資制度です。中小企業が融資を受けやすくするために、信用保証協会が融資金の債務を保証します。保証料がかかりますが、金利の一部を自治体が補助してくれるというメリットがあります。

黒字倒産を防ぐためにも知っておきたい、ファクタリング制度とは?

放課後等デイサービス 開設後の資金リスクとは?

放課後等デイサービスの事業を開始すると、資金繰りで様々な壁にぶつかるケースがあります。「予定どおり利用者が集まらない」「利用者の支払いを回収できなかった」など、様々なリスクが考えられます。こうしたリスクにはどう対処すればよいのでしょうか。

給付費が入金されるまでの資金リスクには「ファクタリングサービス」が有効

放課後等デイサービスの運営で、なんといっても大きなリスクは9割を占める給付費の入金が2ヵ月後という点です。自治体から確実に入金されることがわかっていても、経営者にとっては2ヶ月後というのは大きなリスクです。ここでおすすめなのが「ファクタリングサービス」という制度です。

ファクタリングサービスとは、手数料を支払う代わりに、入金時期を早めるというものです。通常2ヵ月後に入金される給付費の最大80%を、半月後の入金にすることができます。このサービスを活用すると、入金が1.5ヶ月早くなります。経営に詳しい方なら手形を連想すると思いますが、ファクタリングサービスは手形より手数料が安く、1%弱となっています。売上が400万円程度の事業所であれば、3万円程度の手数料で288万円が半月後に現金化されるという計算になります。

<通常>
売上400万円☓9割=360万円(給付費)

<ファクタリングサービス導入の場合>
売上400万円☓9割=360万円(給付費)
360万円の80%=288万円が半月後に入金(ただし最大)

利用者の支払い回収は、振替代行サービスが安心

放課後等デイサービスの利用者が支払う金額は、利用回数によって毎月変化します。世帯によって毎月の自己負担上限額が決められていることもあり、細かな料金計算や支払い対応、また未払いの回収を各事業所で行うのは大変です。そのため利用者が支払う料金の回収は、振替代行サービスを利用する事業所が多いようです。毎月利用者ごとの料金を利用者の口座から振替なので、支払い忘れが無くなります。
振替代行サービスには毎月の利用料がかかりますが、毎月の利用者が10人の事業所であれば、毎月6,000円程度から利用できます。サービスを活用するメリットは充分あるでしょう。

例)ある企業の場合
固定:定額手数料…3,240円
   振込手数料… 540円
変動:振替1件あたり約97円

放課後等デイサービスを開設するにはしっかりとした資金計画が大切です。そのためには事業所開設前に、放課後等デイサービス特有の入金の仕組みを理解しておくとよいでしょう。放課後等デイサービスは融資が通りやすいという特性があるため、余裕のある資金計画のためには融資も選択肢のひとつとして考えておきましょう。開設準備の段階から無理のない資金計画を立てることがその後の安定運営につながります。融資はもちろんのこと、しっかりした事業に育てていくために、早い段階から税理士に相談するのがよいでしょう。