1か月間の業務スケジュール

放課後等デイサービスでは、国保連・利用者へ毎月請求を行います

放課後等デイサービスの事業所では、毎月の請求や入金に関する業務はどのように進んでいくのでしょうか。一般的な会社と違うのは、毎月の請求先が国保連・利用者の2つになることです。国保連・利用者への請求と入金は、異なるスケジュールで動くことが多いようです。実際の現場ではどのように業務を処理しているのか、具体的にみていきましょう。

利用料の9割は、国保連に請求

放課後等デイサービスの利用料の9割は、国保連への請求となります。毎月月末締めで利用者ごとに給付費+報酬加算・減算を算出し、国保連へ請求します。請求業務は下記手順で行います。国保連への請求は、独自の手続きを必要とするので慣れないうちは注意が必要です。国保連への伝送はサービス提供月の翌月10日までに行うと決められています。月末で〆た利用料は、翌月10日までに①②③を終えるようにします。

①請求用のエクセルデータを作成
②民間の請求サービスにアップロードし、国保連請求用CSVデータを作成
③CSVデータを国保連に伝送

国保連への請求で注意が必要な上限額管理

利用者が事業所に直接支払う自己負担分の利用料(1割)については、上限額が設定されています。例えば1人の利用者が複数の放課後等デイサービス事業所を利用した場合、その合計を算出し、上限額を超えない自己負担額を決定することになります。ここで決められた事業所が利用状況をとりまとめ、各事業所が利用者から徴収する自己負担額を決定することを上限額管理といいます。

上限額管理における「管理事業者」と「関係事業者」

この上限額管理を行う事業所を「管理事業者」、ほかに利用される事業所を「関係事業者」といいます。利用者の受給証には、自分が利用する複数の事業所のうち、どこが上限額管理を行うのかが記載されています。
新しい利用者でどこが上限額管理を行うか(管理事業者になるか)については、提供する障害福祉サービス、最も利用される事業所、古い事業所などで決まります。詳しくは地域の福祉事務所に確認するとよいでしょう。
管理事業者は、毎月関係事業者から利用者負担額一覧表を送付してもらい、利用者の利用状況を確認します。上限額管理を行い、関係事業者に上限額管理結果票を送付します。こうした管理事業者の上限額管理は、加算の対象となります。

上限額管理例: 1人の利用者が3つの事業所を利用した場合の自己負担額の処理

A事業所(管理事業者) 7,500円、B事業所 2,500円、C事業所 1,500円 = 合計11,500円
利用者の上限額 4,600円

A事業所 4,600円を利用者に請求(残りの2,900円は国保連に請求)
B事業所 2,500円を国保連に請求
C事業所 1500円を国保連に請求

上限額管理の流れ:

関係事業者(サービスを利用された事業所) → 利用者負担額一覧表の提出
管理事業者(サービスを利用され、上限額管理を行う事業所) → 受け取った利用者負担額一覧表から上限額管理を行う。関係事業者に上限額管理結果票を送付
関係事業者、管理事業者 → 請求情報作成、国保連に請求

国保連への請求 業務スケジュールの例:

月末〆
1日~4日まで
  給付費+報酬加算・減算を算出
  請求用のエクセルデータを作成
  民間の請求サービスにアップロードし、利用者負担額一覧表を作成
5日~7日まで
  上限額管理 8日~10日まで
  上限額管理の結果を請求用のエクセルデータに反映
  民間の請求サービスにアップロードし、国保連請求用CSVデータを作成
  CSVデータを国保連に伝送
31日
  国保連からの通知書(前月利用分の審査結果)ダウンロード

国保連からの入金

国保連への伝送はサービス提供月の翌月10日までに行うと決められています。ここで請求した分は、翌々月の15日(45日後)に入金となります。データを伝送すると、後日国保連より審査結果が通知されます。万が一、請求内容に払い戻しや過誤請求などがあった場合は、国保連から連絡がくるので、翌月の請求時に修正処理を行うことになります。
毎月10日までいう締め切り時間を過ぎた場合、翌月に請求することになりますので、その分入金が遅れることになります。特に国保連からの入金は約45日後と遅いため、請求処理は余裕をもってミス無く確実に行うようにしましょう。

利用料の1割は、利用者に請求

毎月月末締めで利用者ごとに給付費+報酬加算・減算を算出し、原則合計の1割を自己負担分として利用者に請求します。ただし利用者には請求できる上限額が国によって設定されています。上限額を超える分については、国保連への請求となります。おやつ代などの実費については、上限額とは別に利用者に請求します。

上限額とは

非課税世帯(生活保護や低所得など)は0円
世帯年収が約890万円までは4,600円
世帯年収が約890万円以上は37,200円

利用者は利用料を直接事業所に支払うケースもありますが、直接回収や口座振替を行う集金代行サービスを活用する事業所も多いようです。

利用者への請求 業務スケジュールの例:

月末〆
1日~10日まで
  給付費+報酬加算・減算を算出
11日以降順次
  請求書発行(前月利用分)
  領収書発行(前々月利用分)
  代理受領書発行(前々前月利用分)※利用料の9割は国保連から徴収したことを示すもの
  実績記録票発行(前月利用分)※いつどういった内容のサービスを受けたのかを示すもの
  上限額管理結果票発行(前月利用分)※利用者ごとの上限額に関するもの(後述)
  実績記録票回収 ※保護者捺印
  上限額管理結果票回収 ※保護者捺印

利用者からの入金

利用者は利用料を直接事業所に支払うケースもありますが、口座振替を行う集金代行サービスを活用する事業所も多いようです。

放課後等デイサービスの業務スケジュールは、慣れないうちは複雑に感じることも多いでしょう。少人数の事業所では事務スタッフを置かず、兼任でこうした業務をこなしているところもあるようです。とはいえ業務処理に追われて、福祉サービスの質が低下するようでは本末転倒です。資金繰りが順調になったり、ファクタリングサービスの活用で運営に余裕がでてきたりしたら、こうした業務処理は福祉事務に強い外部のサポートを受けるという選択肢もあります。手数料はかかりますが、事務処理を専門スタッフに任せることで、より質の高い福祉サービスに専念できるメリットが生まれます。有用な情報は見逃すことなく、積極的に活用することで効率的でしっかりした経営基盤にしたいものですね。