放課後等デイサービス事業の概要紹介
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、2012年に児童福祉法に位置づけられた新たな支援です。これまで障がいをもつお子さんは、学童保育を利用しづらい状況がありました。学童保育からあぶれてしまった障がいをもつお子さんの居場所として、放課後等デイサービスは大きな注目を集めています。2012年に制度化されてから放課後等デイサービスの施設は全国で急増する傾向にあり、2017年現在、全国約8400カ所で約11万人が利用しているといわれています。
放課後等デイサービスは、小中高の学校に通っている障がいを持つお子さん(6~18歳)向けに、放課後や長期休みに支援を行う場所です。放課後の時間を利用した創作活動や作業活動や、地域社会との交流促進、生活能力向上訓練を通じて、自立した生活を送るための支援を目的としています。放課後等デイサービスはお子さんだけでなく、その保護者の支援という側面も持っています。ここで保護者も子育ての悩み相談や、家庭内での養育について学ぶことで、孤独に陥ることなく社会と接点を持ち続け、ゆとりのある子育てにつなげることを目指しています。
放課後等デイサービスの対象児童とは?
放課後等デイサービスでは、下記の児童を対象としています。
原則として6歳から18歳までの就学児童で、障がい手帳、療育手帳(※「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ぶ地域もある)、精神障がい者保健福祉手帳などの手帳を所持する児童。
または、発達の特性について医師の診断書がある児童。
障がいをもつお子さん向けの施設には「児童発達支援」もあります。放課後デイサービスとの違いは、対象となる子どもの年齢です。放課後デイサービスは就学児が対象ですが、児童発達支援は保育園などに通う未就学児童を対象としています。
放課後等デイサービス利用開始までの流れ
施設を利用する場合、保護者はまず市区町村の福祉担当窓口や障害児相談支援事業所などに相談します。施設見学、利用申請、受給者証の交付を経て、事業者との契約手続き後に利用がスタートします。
放課後等デイサービス
対象 | 小学校~高校に通う障がいのある児童(6~18歳)。 親の就労の有無は問わない |
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職員 | 利用者10人に対し、職員は2~3人 |
預かり時間 | 平日=下校時~18時 祝日・学校休業日=10~18時 |
過ごし方 | 療育プログラム、学習指導、習い事 集団での遊び、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など |
料金 | 利用者は1割負担(9割は自治体が負担)。 1回あたり750円~950円。 世帯の収入毎に負担の月額上限がある |
運営 | 法人格のみ可。 NPO法人、社会福祉法人、民間企業 |
サービス内容や施設のタイプを紹介
放課後等デイサービスで提供する支援の特徴は?
放課後等デイサービスは、障がいをもつお子さんの自立支援として、下記のような特徴を備えています。
①利用者1人ひとりに合わせた療育
②社会性を身につける
③保護者の支援にもつながる
放課後等デイサービスを利用するお子さんには、それぞれ固有の障がいがあります。施設では保護者との面談を通じて児童ごとに個別支援計画を作成し、お子さんの発達段階や特性に応じて課題を設定します。みんなで一緒に遊ぶ学童保育とは異なり、放課後等デイサービスでは児童1人ひとりに応じた支援を行います。
目的別 放課後等デイサービスの施設タイプ
放課後等デイサービスの施設には、主に下記のようにタイプ別に開設している施設が多いです。内容やプログラムの工夫によって選ばれる施設を目指しましょう。
習い事
運動、楽器の演奏などの音楽活動、書道や絵画などの表現活動に特化した施設です。
学童保育
学童保育と同様に、宿題や遊びで自由に過ごす時間が設けられています。掃除や整理整頓など、生活に必要な能力を養う時間もあります。
療育
障がいをもつお子さんに、専門的な療育を行う施設です。作業療法士など専門資格を有する職員がいることもあります。行動、学習、コミュニケーションといった観点から、利用者個人に合わせた療育を行います。SST(ソーシャルスキルトレーニング)や、施設独自の療育プログラムを実施するケースが多いです。
事業を開設するにあたっての心構えや予備知識
放課後等デイサービス開設の条件とは?
放課後等デイサービスは、誰でも事業所を開設できるわけではありません。事業所の運営は法人格のみとなっており、事業を行うためには自治体から認可を受ける必要があります。放課後等デイサービスの施設には、建物、設備、内装、人員、耐震基準など、クリアしなければならない基準が厚労省によって決められています。一般的に申請から事業開始まで、早くて4ヶ月かかるといわれています。
人員確保は今後大変に?
これから新しく放課後等デイサービスを開設する法人は、人員の確保に悩むことになりそうです。というのもこれまでは指導員を2人揃えれば、事業所を開設することができました。この指導員には資格が必要なかったため、中には実務経験のないアルバイトに任せる施設も現れ、支援内容が問題視されるケースが見受けられました。
これを重くみた厚労省は、現在、職員の資格条件を強化する方向に動いています。今後は、基準上の最低配置人員の過半数が児童指導員または保育士であることが条件となりました。この「児童指導員」には、新たに社会福祉士の資格などが求められることとなります。さらに個別支援計画を担当する「児童発達支援管理責任者」には、該当する施設での5年以上の実務経験が必要となります。
これからの放課後等デイサービスに必要な心構えとは?
2012年に放課後等デイサービスが制度化されてから、たくさんの事業所が開設されました。これからの放課後等デイサービスでは、居場所づくりに留まらず、将来の自立支援につながる継続的な機能が求められることでしょう。放課後の時間を安心して過ごせる場所はもちろんのこと、お子さんの自立につながる「生活能力向上のための訓練等」をどれだけ実現できるのかという観点が不可欠になっていくことでしょう。