【限定公開記事】報酬区分判定の裏話

どうして区分2の事業所が多いのか

平成30年4月に報酬にかかわる改定が行われ、事業所の報酬区分(区分1、区分2)が設定されました。ここではこの報酬区分の判定の実態についての裏話をさせていただきます
(区分についてはこちらの記事をご覧ください

区分2の事業所は区分1の事業所より報酬が低い

区分2(障がいの軽い児童が多い)に該当した事業所は区分1(障がいの重い児童が多い)の事業所よりも基本報酬が約50単位低く設定され、また区分2の事業所では獲得できない加算があるため区分1の事業所よりも報酬は低くなっています。
現状、区分2に該当する事業所が多いという実態もあり、この判定はどのように行われているのでしょうか。
ここからは大きくは言えない裏話をしていきましょう。

判定方法

厚生労働省から自治体への事務連絡では①食事、②排泄、③入浴、④移動のうち3つ以上の日常生活について全介助を必要とする障がい児、及びコミュニケーション能力の度合いや異食行動の頻度など16項目を点数で評価し、一定点数を超える障がい児が、前年度に利用者合計数の半分以上を占めていると区分1に該当するとされます。

しかしこの16項目の点数で評価していない自治体もあるのが実態です。
4月から施行される改定に対し、報酬改定の確定がぎりぎりだったこともあり、全児童の判定が間に合わなかったためかと思われます。

ある自治体では受給者証を交付するときに行った調査項目(5領域11項目)やヒヤリングの結果で判定した障がいの度合いを判定に使用しています。

区分2に判定されることが多い理由

厚生労働省から通達された判定方法で判定されていないがゆえに区分1に該当と思われる事業所が区分2と判定されるケースもあります。
自治体は障がいの重い児童に必要な予算を使いたい、しかし通達から施行までの短期間で全児童の障がいの程度を再判定するのは厳しい、このような理由から受給者証を交付するときに行った調査項目を今回の判定に使用していると考えられます。

ここで保護者の視点から考えてみます。
受給者証を交付される際の調査項目やヒヤリングの結果は今後のライフスタイルに大きく影響します。
例えば障がいの程度が重いと判定されると通所を断られる場合もあり、通級も難しくなる場合もあります。
障がいのある子どもに普通教育を受けさせたい、また子どもを通所させることにより、ワークバランスをとりたいと思う保護者もいると思います。
このような経緯で過去のヒヤリングの判定では障がいの程度が実際よりも軽いものとされるケースもあるのではないでしょうか。
その結果、障がいの程度が基準に該当しないとされる子どもが多くなり、必然的に区分2と判定される事業所が多くなったとも考えられます。

まとめ(報酬区分の判定)

児童を預かる事業所の視点から考えてみると、区分の判定は本来なされるべき判定により区分されるべきです。
自治体と保護者のヒヤリングだけで、事業所はおいてきぼりなのでしょうか。
実態にあった判定がされることで、それぞれの事業所に適した報酬が算定されるべきです。