放課後等デイサービスの申請要件

放課後等デイサービスの事業所開設には、都道府県への申請が必要です

放課後等デイサービスの事業所を開設するには、許認可申請が必要です。基本的に事業所を置く都道府県に申請をし、知事から指定を受けます。政令指定都市や中核市の場合は、都道府県ではなくその市に申請するケースもあります。

放課後等デイサービスの申請に必要な要件は?

放課後等デイサービスの事業者として指定を受けるためには、下記の要件が必要です。

・法人格を有すること(株式会社、合同会社、合名会社、特定非営利活動法人(NPO)、一般社団法人、一般財団法人、社会福祉法人、医療法人など)
・定款の目的欄に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」「児童福祉法に基づく児童発達支援事業及び放課後等デイサービス事業」といった文言が入っていること。
・指定基準(人員配置基準、設備基準、運営基準)をクリアしていること

放課後等デイサービス申請に必要な「指定基準」とは?

事業所としての指定を受けるためには、クリアしなければいけない3つの基準があります。それぞれを具体的にみていきましょう。

○事業所の運営に関わる人を定めた「人員配置基準」

放課後等デイサービスの事業所設立では、最も難しいのが人員の確保でしょう。人員配置基準では、事業所の利用定員によって必要な人員数が変わります。ここでポイントとなるのが、必ず必要となる児童指導員と保育士の数です。

定員に関係なく必須とされる人員配置基準

・管理者1名以上(原則として専業で事業所の管理業務に従事)
・児童発達支援管理責任者1名以上(うち1人以上は専任かつ常勤だが管理者との兼務は可)

事業所の利用定員によって変わる部分

・利用定員が10人まで : 児童指導員または保育士、障害福祉サービス経験者が2人以上。かつ半数以上が児童指導員または保育士。
・利用定員が10人を超えるとき : 児童指導員または保育士、障害福祉サービス経験者が障害児の数を5で割った数以上。かつその半数以上が児童指導員または保育士。(例:障害児15人のときは3人以上、障害児18人のときは4人以上)

利用定員に応じた人員を確保していないと、事業所の報酬が減算となりますので注意が必要です。10人定員の事業所の場合としてわかりやすく言い換えると、下記になります。

10人定員の事業所における人員配置基準例

・管理者 … 1名
・従業者 … 児童指導員1名、障害福祉サービス経験者1名
・従業者 … 児童発達支援管理責任者(管理者と兼務)
合計3名

放課後等デイサービスの事業所に必要な児童指導員・児童発達支援管理責任者・障害福祉サービス経験者には、それぞれ細かな要件があります。どういう人材ならその立場になれるのか、順番にみていきましょう。

児童指導員の要件

・地方厚生局長等指定の児童福祉施設職員養成学校を卒業した者
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・学校教育法規定の大学または大学院で社会福祉・心理・教育・社会のいずれかに関する学部・研究科・学科・専攻を卒業した者
・小学校・中学校・高等学校のいずれかの教諭の免許状取得(学校種や教科は不問)
・児童福祉施設での実務経験者(高卒以上2年、その他3年) など

児童発達支援管理責任者の要件

・障がい児者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援、相談支援などの業務における実務経験があること(経験の種類や資格に応じて、3~10年の違いがあります。詳しくは都道府県の申請窓口に確認するとよいでしょう)
・市区町村または都道府県が実施する「児童発達支援管理責任者研修」および「相談支援従事者初任者研修」の2つの講習を受講していること

障害福祉サービス経験者の要件

・高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、大学への入学を認められた者、通常の課程による12 年の学校教育を修了した者、または文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認定した者であり2年以上障害福祉サービスに係る業務に従事したもの

○事業所が入る建物を定めた「設備基準」

放課後等デイサービスの事業所に使用する建物にも、面積などの基準があります。
・指導訓練室の面積(都道府県によって差があります)
 厚生労働省のガイドラインでは一人当たり2.47㎡推奨
 東京都では一人当たり4㎡以上
 神奈川県では規定なし
 埼玉県では一人当たり2.47㎡以上
 千葉県では一人当たり約3㎡以上

都道府県によっては、以下のものが設備基準に含まれることがあります。
・洗面所、トイレ(衛生面を考慮していること)
・相談室(プライバシーが守られることを考慮する必要あり)
・事務室
・建築基準法、消防法、都市計画法などに適合していること(消防法「特定防火対象物第6項のハ」に該当しますので注意が必要)

○事業所の運営について定めた「運営基準」

利用定員(10名以上)、協力医療機関を定めておくなど、事業所を運営するにあたって様々な基準が設けられています。協力医療機関については都道府県によって異なる点もあるため、各基準については申請窓口で確認するようにしましょう。

放課後等デイサービス、許認可申請の締め切りは?

放課後等デイサービスの事業所開設予定日が決まっている場合、そこに間に合うように申請を出す必要があります。申請から指定までに必要な日数は都道府県によって異なるため、注意が必要です。例えば東京都の場合は事業所開設予定日の前々月末日、埼玉県では前月10日、神奈川県と千葉県では前月15日といったように、都道府県によって差があります。

まず申請場所に事前相談に行くことがポイント!

放課後等デイサービスの事業所を開設する場合は、事業所を開設する予定の都道府県にまず1度事前相談に行くとよいでしょう。クリアしなければいけない指定基準の詳細や必要書類、指定までのスケジュールなどについては、事前に窓口に相談すると安心です。
実際に開設した事業所から話を聞くと、設備上の問題で申請が受けられないケースが多いようです。事業所として仮決めした物件情報を持参して事前相談に行くと、その場で担当者から問題点を聞くことができるのでスムーズでしょう。

放課後等デイサービス、申請要件を満たさなかった事例

放課後等デイサービスの事業所を設立する場合、行政と十分に事前協議を行い、内容を確認してから申請するケースがほとんどです。ここではこの事前協議の段階で、要件を満たさないとされた事例をご紹介します。

・建物が違法物件だった!
放課後等デイサービスの事業所として利用しようとした建物の検査済証を求められたが、その建物は検査済証を取得していなかった。代わりの書類として建築開始時の申請書を提出したが、建築開始時の申請書に記載された建蔽率と、その後実際に建築された建物の建蔽率が異なる違法物件だったことが発覚したため、事業所の許認可申請を出せずに別の物件を探すことになった。

ここでいう検査済証とは、工事途中の中間検査や工事完了時の完了検査においてその工事が建築基準法に適合しているかどうかを検査し、合格した場合に発行されるものです。昔は3割程度しか取得されていなかったため、検査済証のない建物も多く存在しています。このケースでは、検査証がないことから違法物件だったことが判明しました。
このように要件を満たさない事例は、設備関連が多いようです。基準に合った物件を探すのは一苦労という声をよくうかがいます。物件を仮押さえして行政との事前協議に臨むことが多いと思いますが、物件にNGが出ると余計な時間がかかってしまいます。事前協議をスムーズに進めるためにも、物件選びは注意したいところです。