これってNG? 運営におけるケーススタディ


猶予期間終了の2018年の4月までに、新要件をクリアしておこう

2017年4月から、放課後等デイサービスの要件が変更となりました。2017年3月31日時点で存在する事業所については、2018年の4月までは猶予期間が設けられていますが、猶予期間終了後はすべての事業所で要件に沿った人員基準の順守が求められます。猶予期間が過ぎても基準を満たしていない事業所は報酬減算となるだけでなく、都道府県などが行政指導をするとされています。
新基準の中で、最も悩みが大きいのが人員でしょう。ここでは新しい人員配置の基準に基づき、実際の現場ではどのように運営されているのか、具体的にみていきたいと思います。
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新しい人員配置基準でポイントとなるのは、児童指導員と保育士の数

旧要件では、放課後等デイサービスの事業所を運営する人員は、児童発達支援管理責任者*以外は全員無資格でもOKでした。ところが新要件では「児童指導員*または保育士、障害福祉サービス経験者*が2人以上。かつ半数以上が児童指導員または保育士であること」とされ、児童指導員あるいは保育士が必ず1名必要となりました。事業所で保育士を採用できない場合は、児童指導員の条件に合致した人材が必要となります。児童指導員を名乗る人員には、どういった条件が必要なのでしょうか。ここでしっかり理解しておきましょう。

*児童発達支援管理責任者の要件

・障がい児者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援、相談支援などの業務における実務経験があること(経験の種類や資格に応じて、3~10年の違いがあります。詳しくは都道府県の申請窓口に確認するとよいでしょう)
・市区町村または都道府県が実施する「児童発達支援管理責任者研修」および「相談支援従事者初任者研修」の2つの講習を受講していること

児童発達支援管理責任者に加え、ポイントとなる児童指導員、障害福祉サービス経験者の要件は下記になります。あわせて理解しておきましょう。

*児童指導員の要件

・地方厚生局長等指定の児童福祉施設職員養成学校を卒業した者
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・学校教育法規定の大学または大学院で社会福祉・心理・教育・社会のいずれかに関する学部・研究科・学科・専攻を卒業した者
・小学校・中学校・高等学校のいずれかの教諭の免許状取得(学校種や教科は不問)
・児童福祉施設での実務経験者(高卒以上2年、その他3年) など

*障害福祉サービス経験者の要件

・高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、大学への入学を認められた者、通常の課程による12 年の学校教育を修了した者、または文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認定した者であり2年以上障害福祉サービスに係る業務に従事したもの

事業所の定員によって、必要な人員数が変わる

新要件では、児童指導員*あるいは保育士が必ず1名必要となりました。この最低1名という数は事業所の定員によって変わります。具体的には下記のようになります。

事業所の利用定員によって変わる人員要件

・利用定員が10人まで : 児童指導員または保育士、障害福祉サービス経験者が2人以上。かつ半数以上が児童指導員または保育士。
・利用定員が10人を超えるとき : 児童指導員または保育士、障害福祉サービス経験者が障害児の数を5で割った数以上。かつその半数以上が児童指導員または保育士。(例:障害児15人のときは3人以上、障害児18人のときは4人以上)

利用定員に応じた人員を確保していないと、事業所の報酬が減算となりますので注意が必要です。次に10名定員の事業所がどういった人員で運営されているのか、具体例をみてみましょう。

10名定員の事業所における人員配置基準例

・管理者 … 1名
・従業者 … 児童指導員1名、障害福祉サービス経験者1名
・従業者 … 児童発達支援管理責任者*(管理者と兼務)
合計3名

人員に余裕がある事業所は、指導員加配加算の対象に!

最低限必要な人数で運営するのではなく、余裕をもった人員構成の事業所は加算の対象となります。10名定員の事業所において、基準上の最低配置(最低限必要となる児童指導員または保育士+障害福祉サービス経験者の2名)以外にも従業員(指導員)がいる場合の加算についてみてみましょう。

指導員加配加算の例
無資格者 → 183単位/日
児童指導員など → 195単位/日

児童指導員など一定の条件に合致した人材を配置すると、より多くの単位を加算できます。人員がぎりぎりの事業所では、提供するサービスの質が低下するおそれがあります。そこで人員に余裕があること、人員の質が高いことは評価の対象となっています。

定員オーバーでペナルティとなってしまうケース

事業所を訪れる利用者の数は、毎日変わります。事業所は定員が決まっていますが、定員以下の日もあれば、オーバーしてしまう日もあることでしょう。あまりにも定員オーバーのまま運営を続けていると、ペナルティ(減算)を受けることがあります。具体例をみてみましょう。

定員超過利用減算の例(10名定員の事業所の場合)

・1日16人利用 → 定員の150%を超えているのでNG
・3ヶ月の平均利用人数が14人 → 3ヶ月の平均利用人数が13人を超えているのでNG(基準では定員の125%を超えた場合。定員11名以下の場合は定員に3を加えた数)

基本単位数の70%に減算されます

事業所としてはより多くの利用者があれば、それだけ売上につながります。とはいえ定員を超える運営はサービスの低下や事故を引き起こすおそれがあるため、減算の対象となります。予想より利用者が多い場合は、速やかに利用者と曜日などを相談し、定員オーバーとならないようにします。利用者があまりにも多くなる場合は、事業所を増やすケースもあるようです。

まとめ

放課後等デイサービスの現場では、指定基準に関して様々な解釈をしながら運用しています。指定基準の個々の解釈は複雑にみえますが、利用者に質の高いサービスを提供するという目的がぶれることはありません。事業所を運営する側としては、ペナルティとなるような運営は避け、加算の対象となる要件を強化していくことが、安定経営につながる道のひとつといえるでしょう。
 

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